静けさの温もり

 

温もりという感覚は生まれつきのものであり、普遍的なもの。

でも私たちは個人的な経験や生まれ育った環境によって構築された、それぞれのユニークな温もりの定義を持っていると個人的には信じている。私には、母の力強くて温かいピアニストの手や、愛犬の柔らかなベルベットのような耳など、この概念に最も共鳴する思い出がいくつかある。

このような思い出をたくさん持ち、長い間愛情豊かな環境にいたけれど、この概念が私にとっていかに重要であるか、ということに気づいたのはフィンランドに住んでから。

フィンランドは、私がこれまで住んだ中で最も寒い土地。永遠に続くかと感じてしまう暗い冬では周囲のあらゆるものが凍ってしまい、時間が止まったかのような、静けさの世界になる。

不思議にこのとてつもない寒さ、静けさ、そしてフィンランドでの孤独は、私の温もりの原点を探る鍵となった。最初は凍るような寒さに対応する為の身体的な感覚を通して、そして少しずつ内面的な温かさの探求へと変わり、特定の色、質感、音、あるいは言葉さえも、私の居心地の良さを感じさせる一部であることに気づいた。

寒さの中に温かさを見出したこの個人的な体験は、物事はその反対があってこそ存在するというシンプルな考えを私に振り返させてくれた。寒いからこその温かさ、暗いからこその光、硬いからこその柔らかさ、など。世界にはコントラストというものが必要なのだ。

当たり前のことのように聞こえるこのことは、私にとって、デザインの分野を超え、より一般的な意味で現在の分断された世界情勢を受け入れるために重要な心のあり方だと感じている。

鏡のように、相反するものは必ず存在し、それと向き合い、受け入れることで私たち自身の見方を再考し、より内省的で博愛に満ちるきっかけになるかもしれない。

 

皆様にとって美しいコントラストに満ちた、素敵な一年となりますように。

温かい思いを込めて

エリサより

写真:サンナ・レフト

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